「秘儀参入のタロット」に至るまで
青年期より縁あって、内村鑑三に始まる無教会三代目の神学者・高橋三郎先生の講座に入門を許されて師事し、そこで自分の生きる確かさを探求するようになる。そして師の元で、その人格を通して「絶対者」に出合うという体験を起こす。
その後、社会人として一般組織と人間関係に関わる中で、「人間の魂の複雑さ」を深刻に経験する。その過程で、「新しい人間精神の時代を築くこと」をテーマとする「クロウリー=ハリス版 トートタロット」に出会う(1974年)。
それは、ほんの、たまたまな雑誌の写真を目にしたことからであった。わたしはその絵の迫力と心を奪う力にとらえられ、この「トートタロット」はその真の意味を探求すれば、わたしが経験している「人間の魂の複雑さ」が生み出す人間対人間の深刻な矛盾に、深く、真実に取り組んでいける視点を見出すことができる、と直観したのである。
しかし、その頃入手できる世界のタロット解説書の中には、存在の根源から「人間の魂の複雑さ」を捉えられるようにわたしを促し、それを乗り超える立場が得られると感じさせてくれるものは、どこにも見当たらなかった(*タロットの解説やカバラの教義に関する説明、考えを教えるだけで、「人間の魂の複雑さ」という「既存の生き方を超えた人生の立場が得られる」と言えるものに、出会うことはなかった)。
やがて1991年、イギリスのガレス・ナイトがマルセーユ版タロットカードの解説書として、『タロットの四重構造論』を発表した(*注)。それはマルセーユ版カードを中心にしたタロット全体の構造を、彼のネオ・プラトニズムの立場から、イディア論に基づいて解説した素晴らしいものであった。
だが、そのタロットの四重構造論は、そのままでは「人間の魂の複雑さ」というわたしがぶつかった矛盾は克服できない。その四重構造はいいとして、そのタロットの捉え方の中には「存在の変容の必要性と、変容への動体的な仕組み」がないため、わたしが直面してきた問題は乗り超えられない。それが、わたしの率直な感想であった。
しかし、それとは別に、神話学が追求してきた「迷宮神話の法則」ーー迷宮の原理を完全にたどる者は、その成熟によって世界精神を変える能力を獲得する、という神話学が確立した基本原理がある。それと、「タロットの四重構造論」とを一体化して結びつけることに成功するなら、わたしの直面してきた人生の厚い壁を乗り超える道が開ける。しかもそれによって、「人間の生き方に決定的な変容を起こすことができる」、と感じたのである。
しかも、神話の法則の不十分さを克服し、進化させた「人間の存在の変容論」と、タロットの仕組みとが本当に一体的に結びつくことが明確になるとすれば、その「タロット四重構造論」はマルセーユ版やその他のタロットカードよりも、世界神話を素材として構成された「クロウリー=ハリス版 トートタロット」に、遥かに的確に対応すると思われたのである。しかもそれによって、「クロウリー=ハリス版 トートタロット」も、旧来のカバラの教義の中に埋没した宗教くさいものではなくなり、現代の日常生活の中で生き生きと躍動するものに変わることができるのである。
(*世界に「トートタロット」と名づけられたタロットカードは、フリーダ・ハリスとアレイスター・クロウリーによって製作されたタロットカードだけではありません。したがって、ここで取り上げているトートタロットは、厳密には「クロウリー=ハリス版 トートタロット」になります。)
*注:『The Magical World of the Tarot』(Fourfold Mirror of the Universe):The Aquarian Press 発行
そのようにして、トートタロットによる人間の存在の変容は、果たして可能なのかどうか。
それは、わたしが痛切に苦しんできた「人間の魂の複雑さ」が生み出す人生の矛盾を、完全に乗り超えられる道をわたしの前に開いてくれるものなのかどうか。
それはタロットの発祥はどこで何時頃であるかとか、タロットカードはどう読めばいいかとか、どんな種類があるか、わかりやすい解説は何か、というようなものではない。それはある仏教徒が語ったように、この自分を如何にせん、この自分をどうしようという切実な問題である(暁烏 敏『わが歎異鈔』上:潮文社 p.122 より)。カバラの教義から見て、このカードをどう考えるかなどというタロット解釈の問題などではない。わたしの関心ごとは、「人間の魂の複雑さ」が生む「生の矛盾」ーーそれを超えて生きる世界観がトートを含むタロットにあるのかどうか、という問題なのである。わたしは高橋師の元で体験した「絶対者との出合い」と重ね合わせ、日夜研究と実践を続けて、その具体的な人生への適用を探り求めた。
そしてようやく、2003年、単なる占いや心理学的な意識のツールとしてではなく、人間に「存在の変容」を起こす新たな生のエネルギーを引き出せれるものとして、「トートタロットによって人生に根源的な変容を引き起こす新体系」を確立した。そしてそれを、当初「魔術師の神殿体系」と名づけていたが、今は人間の生き方に決定的な変容を引き起こす「秘儀参入のタロット」として、その仕組みを「テウルギアの神殿体系」と名づけている。テウルギアは、この世を生きる限り誰もが避けて通れない「生の矛盾」を、完全に乗り超えて進むことができる、「大宇宙を新たに創造する生のエネルギーがそこに存在する」というほどの意味になる。
わたしは若き日に、恩師・高橋三郎先生のもとで「神の現臨に触れる」という体験を起こしたが、社会人になり、ビジネス社会に身を置きながら、そこでの「人間の魂の複雑さ」が招く深刻な矛盾に苦しんだ。政治的、ビジネス的社会は、人を真実に生かそうとはしない場なのである。そこには、人をズルズルと虚偽へ引きずり込もうとする鉄のような法則が働いている。そこで、自らの真実を貫いて生きようとするには、わたしの経験も知識も弱すぎた。そこでは、トートタロットでいう「#15.The Devil パーンの祝祭」が示す、大木のような骨太さと、そこにドッカとあぐらをかいて居座れる成熟、ゆとりが求められた。その苦痛の中で、わたしは「クロウリー=ハリス版 トートタロット」に出会えたのである。
この社会の渦中におけるトートタロットの長い期間にわたる研究と実践を通して、わたしはそこに「人間存在の変容への法則」として、「テウルギアの神殿体系」を確立した。この体系は、「神の現臨」と「この世を出家せずに生きる」こととの厳しい矛盾が、弁証法的に超えられるという法則が体得できるものである。旧来のカバラが言ってきた「聖なる守護天使の知識と会話に達する」という「大いなる業」は、単なる結社内の儀式としてではなく、現実社会の中で、「神の現臨とこの世を霊的創造の場として生きること」とが一連に結合するものにならねばならない。それが、タロットの「テウルギアの神殿体系」を修練することによって、実現できることが明確になった。そして、それによって「人間の魂の複雑さ」が生む、わたしたちには手のつけられないほどの深刻な矛盾を、完全に乗り超えて生きる道が開けるのである。
「秘儀参入のタロット」の定義:
これらのプロセスを経たうえで、レオン•サリラにおける「秘儀参入のタロット」を定義すれば、それは「人生のどうにもならない矛盾、〈苦(く)〉に直面し、それを乗り超える〈絶対的な道〉へと出ていき、現実を霊的創造の場にできる学びと訓練をもたらすタロット」と言えます。
そして、それを「第3のアイオーン(精神的時代)」を創造する生き方を確立できるレッスン体系として、文化創造の中で位置づけ、現在まで、タロットの学習と修得レッスンを実践しています。
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1970 年代後半に、アメリカで 3,000 人以上の人たちを、およそ4年間にわたる追跡調査によって確立さ
れ、発展してきた大変信憑性の高いヌメロロジィと評価し、本講座ではそれを取り入れています。
* その他、不定期に、旧・新約聖書やカバラ、西洋神秘学に関するテーマを取り上げて学びます。