秘儀参入への2つの扉

「風の国」の守護人

 

「#8.Adjustment 真理の女神」

 

 秘儀参入への第1の「扉」は、この「風の国」の守護人、「#8.Adjustment 真理の女神」に相当する。タイトルは「真理の女神」だが、正確には「真理への女神」になる。

 

 「#8.Adjustment 真理の女神」は「テウルギアの神殿」の中で「#1.The Magus 秘儀参入者」の右手にいて、「風の国」の入口を守っている。そして「風の国」のサークルを形成し、その中心には自分の所定の位置がある。この守護人は、「テウルギアの神殿」そのものの意味を持つ「真理の女神マート」であり、天上界からすべての生の探求者に救いの手を差し伸べている。探求者の探求が真実であれば、タロットの霊フルの導きにより、必ず「テウルギアの神殿」に招かれる。つまり、「テウルギアの神殿」そのものを表す「#8.Adjustment 真理の女神」は、「#0.The Fool フール」とペアを成すものである。従って、「#8.Adjustment 真理の女神マート」は、ディオニュソスのパートナー、アリアドネ(*注)でもあるわけである。

 

(*注):アリアドネは「人間の魂」の象徴である。ディオニュソスのパートナーは「人間の魂」であり、ディオニュソスの重要な役割の1つが、人間の魂を救うこと。

 

 

 “天秤”は、天上界から差し出された「救いの腕」の象徴である。フールは、メイガス(*ここでは秘儀参入者)を通してこの世俗世界に働きかける。そして「#8.Adjustment 真理の女神」の天上界から差し出された腕(“天秤”)と結合して、新しい生の基盤が探求者の内面に形成される。その結果、この領域において、今後の人生の土台が確立されるのである。同時に「#8.Adjustment 真理の女神」の性質そのものが、「テウルギアの神殿」の土台になる。(*天秤は1対1で向き合う関係のこと。秤の上の関係は、常に1対1。)

 

 

 この領域のテーマは、物質や血族的なものに縛り付けられているこの世の関係から解放され、生きる方向性を見出した主体によって、1対1の関係がはっきりと自覚されることである。「真理の女神」が、大地に「テレーマの剣」を突き立てているのが、その意味を表す。そしてそれが、人生の学びの中心をどこにするか、どこで学ぶか、誰との学びの絆を人生の土台にするか、という重要な問題の確立につながる。

 

 

 そして菱形状の空間に打ち立てられた「テレーマの剣」は、この探求と実践は、探求者のクリアになった心の中での先鋭な戦いなしにはありえないことを物語っている。事実「真理の女神マート」の象徴であるダチョウは、地上で生きると周囲は襲ってくる敵だらけになったし、神の子イエスの場合は、洗礼者ヨハネから洗礼を受け、自分自身が神の子に他ならないことを自覚した途端に、聖霊は直ちに彼を荒野に追いやって試練を与えたのである。それをわが師は、「その時、イエスは死の危険にさらされていたのである」と教えてくださった。その命がけの試練の通過こそが、探求者にとって真理の女神に差し出された腕をつかめるか否かの分岐点になるのである。人はこの命をかけた試練に合い、それを乗り超えるまでは、生の探求が本物であるとは見なせない。(そして、その生と死の狭間に立つ人生のステージが、このカードの次の「#9.The Hermit 隠者」の位置になる。)

 

 

【外陣魔術師認定試験】について

(ただし、過去の例です。今後の内容や基準は公開できません。)

 

[試験の認定基準値]

各試験70点以上で、トータル80%以上が外陣魔術師に合格になります。

ただし、ボーダーライン:各試験70点以上の場合だけです。

  例:問題1が65点、問題2が90点など。

   各試験で、70点以下があれば、トータル80%以上でも不合格にな

  ります。

 

[認定名]

・トータル80%以上で、マーリングレイド認定。(外陣魔術師認定)

・トータル95%以上で、アーサーグレイド認定

              (マイナーアディプト:魔術師認定)

 

「秘儀参入認定」対象者は、上記のマーリングレイド認定、アーサーグレイド認定を経た者に限られ、審査を受けられます。

 

★ テスト時間配分:

 

時間表

11:0011:50

50分)

問題1「#11.Lust」の論文

2

12:0012:50

50分)

問題2「至高の三角形」の論文

 

12:5013:30

40分)

お昼休憩

3

13:3014:30

60分)

問題3「#8. Adjustment」の視覚化瞑想論文

*15分瞑想→書く

4

14:4015:30

50分)

問題4ヘブライ文字、錬金術、

#9. TheHermit」から、

#10. Fortune」から、カバラ四界、

5

15:4016:20

40分)

ケルト十字スプレッド

6

16:3017:20

50分)

ホロスコープリーディング

*タロットカードは、全部見て良い。

 


「風の国」の最初の人格

 

「#15.The Devil パーンの祝祭」

 

  秘儀参入への第2の「扉」は、この「風の国」の最初の人物、「#15.The Devil パーンの祝祭」に相当する。

 R・M・リルケの詩の1部に、次のようなものがある。この詩は、秘儀参入への扉を開ける重要な鍵を持つ。この「鍵」が、「#10.Fortune 運命の輪」のテュフォンが持つ、天界の門を開く鍵なのである。

 

 リルケの詩より;

 

 これは、1つの時代がその終焉にあたってもう一度自分の価値を総括してみようとするとき

 いつもあらわれて来る人間だった。

 

 そのような時、ひとりの人間があって、時代のすべての重荷を取り上げ

 自分の胸の奥底へ投げ込むのだ。

 

 彼に先立つ人々は人の世の悲喜と甘苦しか知らなかったのに、

 

 彼はひたすら人生の重み厚みを感じ、

 

 すべてを1つの<物>として自分が抱き止めるのを感じるーー

 

 ひとり神のみが彼の意志を高く超えている。

 

 さればこそ彼は、この超絶を憎む雄々しい心をもって、

 

 神を愛するのだ。

                 (大久保和郎 訳)

 

 

  第2のサークル「風の国」の正面にいる最初の人物は、「#15.The Devil パーンの祝祭」である。「火の国」で一番大切なことに目覚めた探求者は、自分の探求するものに関する使徒(*秘儀伝授者)を発見し、弟子入りする。その使徒のもとで働き、実践的に生きる真実を学ぶ。ここでは「#5. The Hierophant 高等司祭」から始まった理論的、原理的な生の学びから踏み出し、生きて存在することの確かさ、認識の主体性を問われる学びが行われる。そして、探求者の内面、すなわち「魂の複雑さ」が明るみに出されていく。「#15.The Devil パーンの祝祭」で “大木” として表されている「社会」の力は探求者の想像を超えて強く、そして大きく、理論的な「#2.The Priestess イシスの探索」での学びも通用しないほどに探求者の前に立ちはだかる。

 

 

 しかし使徒の元で学んだ探求者は社会的にも優秀で、彼は仕事や学業において社会的な試練を突破して、社会的基準ではひとかどの人物になれる。だがその成功願望のある種の実現のもとに、彼の隠された欲望と矛盾は膨らんでいき、探求者は自分の内面的な複雑さをまざまざと見せつけられる。その象徴が、「#15.The Devil パーンの祝祭」のカードにある “大木の2つの根” によって、心が表と裏に二分化している様子で描かれている。かつまた、カードの背景が “蜘蛛の巣” のようにも、“吐き出される嘔吐物” のようにも見える図で描かれている理由である。社会はコンプライアンスという基準を持つが、それは欲望が織りなす網目であり、人間の魂の働きは複雑である。そして、それらと自分とは関係がないと思っていたが、探求者はある種の成功を社会的に体験すると、その「魂の複雑さ」は自分の内面でも同様に強力に作用しているのを認めざるを得なくなる。

 

 

 学びやアカデミックな理解による自己の変容だけではなく、経済的、政治的に複雑な社会関係の只中における変容とは何か。

 探求者は収入不安や生命が存続できるかどうかの不安を超えて社会の価値観と戦いながら、それに埋没しない骨太い視点が確立される成長が求められる。そして、探求者のこの「骨太い精神」は、本人の社会体験に取り組む誠実さと、自分の師である使徒に食い下がる真実さによってのみ養われていくものである。それなくしては、「骨太さ」とは単なる一般的な図々しい精神に堕した愚かさに過ぎなくなっていく。

 

 

 この箇所の、本講座での解説は短いが、象徴の中心には “大木” が雲をつくほど聳えている通り、「#15.The Devil パーンの祝祭」の通過期間は実際には長く、甘苦と試練とに満ちている。

 



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